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2026-03-20
#受発注 #転記 #自動化 #中小企業 #COREC #freee

受発注の転記作業、まだ手でやってるの?中小企業の自動化事例

受注メールを確認して、会計ソフトを開いて、品名と金額を手で打ち込む。1日に何十件もこれを繰り返している。

「受発注システムは導入したのに、結局その先の転記が手作業のまま」——そんな中小企業は少なくありません。

この記事では、受発注の転記作業を自動化する方法を比較し、実際に週5時間の転記を10分に短縮した事例を紹介します。大企業向けの数百万円するシステムの話ではなく、従業員1〜50人の中小企業でも明日から使える方法に絞っています。

受発注の「転記」が最後のボトルネットになっている

受発注のデジタル化は進んでいます。COREC、楽楽販売、Board、BtoBプラットフォームなど、クラウド型の受発注システムを使っている中小企業は増えました。

でも、その先が問題です。

受注データを受け取ったあと、会計ソフト(freee、弥生、マネーフォワードなど)に転記する部分は、いまだに手作業のまま。ここにボトルネックが残っています。

なぜ転記が残るのか

理由はシンプルです。

  1. 受発注システムと会計ソフトが直接つながっていない — COREC の公式連携先は Square くらい。freee や弥生との直接連携はない
  2. CSVエクスポート → インポートの手間 — 「CSVで出せるじゃないか」と思うかもしれませんが、フォーマットが合わない、勘定科目のマッピングが必要、毎回手動でやるのが面倒
  3. 件数が「微妙に多い」 — 月に10件なら手打ちでいい。月に500件なら大企業向けEDIを入れる。月30〜200件くらいの中小企業が一番困っている

転記作業が引き起こす具体的な問題

「たかが転記」と思うかもしれませんが、積み重なるとこうなります。

  • 時間コスト: 1件5分 × 月100件 = 月8時間以上
  • 入力ミス: 金額の桁間違い、品名の表記ゆれ、日付の入力ミス
  • 二重入力: 同じデータを受発注システムと会計ソフトの両方に打ち込んでいる
  • 月末の地獄: 照合作業で丸1日潰れる
  • 属人化: 「あの人しか転記のルールを知らない」状態

年間にすると100時間以上。パート1人分の人件費に相当します。

転記を自動化する4つの方法

受発注の転記を自動化する方法は、大きく4つあります。それぞれの特徴、コスト、中小企業への向き不向きを整理します。

方法1: Excel マクロ・VBA

概要: CSV をダウンロードして、Excel のマクロで会計ソフト用のフォーマットに変換する。

メリット:

  • 追加コストゼロ(Excel があればできる)
  • カスタマイズの自由度が高い

デメリット:

  • VBA を書ける人が社内に必要
  • CSVダウンロード自体は手動
  • マクロが壊れたら直せる人がいない(属人化リスク)
  • 受発注システム側のフォーマットが変わると動かなくなる

中小企業への向き不向き: △ Excel に強い人がいれば使えるが、長期運用は厳しい。「作った人が辞めたら終わり」になりがち。

方法2: RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

概要: 画面操作を自動化するソフトで、「受発注システムからコピーして会計ソフトに貼り付ける」操作をロボットにやらせる。

メリット:

  • プログラミング不要(ノーコードで設定できるツールもある)
  • 既存のシステムをそのまま使える

デメリット:

  • ツール自体のコスト(月1〜10万円)
  • 画面のレイアウトが変わると止まる
  • 動作が不安定になることがある(特にクラウドサービスの画面更新時)
  • 中小企業には設定・保守のハードルが高い

中小企業への向き不向き: △ 大企業ではよく使われるが、中小企業だとコストと保守の負担が見合わないことが多い。ユーザックシステムやBizteXが事例を出しているが、年間数十万円のコストがかかる。

方法3: OCR(光学文字認識)+ AI

概要: FAX や紙の注文書を AI-OCR で読み取って、データ化する。

メリット:

  • FAX・紙の注文書を処理できる唯一の方法
  • AI-OCR の精度は年々向上している

デメリット:

  • 読み取り精度100%にはならない(人のチェックが必要)
  • そもそもクラウド受発注システムを使っているならデータは既にデジタル — OCR の出番がない
  • 導入コストが高め

中小企業への向き不向き: × 「受発注はまだFAX」という企業には有効。でもこの記事の読者(受発注システム導入済みで転記が課題)には関係ない。

方法4: API ベースの自動連携

概要: 受発注システムと会計ソフトを API(アプリケーション間の通信インターフェース)でつないで、データを自動で流す。

メリット:

  • 完全自動化(人の操作が不要)
  • データの正確性が高い(コピペミスがゼロ)
  • 画面変更の影響を受けない(API はシステムの裏側で通信するため)
  • 設定後はメンテナンスがほぼ不要

デメリット:

  • 受発注システムと会計ソフトの両方が API を公開している必要がある
  • 自前で構築するにはプログラミング知識が必要
  • 連携ツールを使う場合、月額費用がかかる

中小企業への向き不向き: ◎ もっともおすすめ。COREC、freee、マネーフォワードなど主要なクラウドサービスは API を公開している。自前構築は難しいが、連携ツールを使えば設定だけで済む。

4つの方法の比較表

方法初期コスト月額コスト自動化の度合い保守の手間中小企業向き
VBA/マクロ無料無料半自動高い
RPA5〜30万円1〜10万円/月半自動中程度
OCR10〜50万円1〜5万円/月半自動中程度× ※
API連携無料〜10万円0〜2万円/月完全自動低い

※ 紙・FAX が主な受注手段の場合は ◎

結論から言うと、すでにクラウド受発注システムを使っているなら、API ベースの自動連携が最適解です。RPA は「API がないシステム同士をつなぐ苦肉の策」であって、API が使えるならそちらを選ぶべきです。

実例: COREC → freee の転記を週5時間から10分に

ここからは具体的な事例を紹介します。

導入前の状態

ある中小企業(従業員15名、小売・卸売業)では、COREC で受注管理をして、freee で会計処理をしていました。

毎日の作業フロー:

  1. COREC にログインして新規受注を確認
  2. 受注内容を目視で確認(品名、数量、金額、取引先)
  3. freee を開いて、取引として手入力
  4. 入力内容を元データと照合
  5. 月末にまとめて請求書発行

問題点:

  • 毎日30分〜1時間の転記作業
  • 週に換算すると約5時間
  • 月末の照合で追加2〜3時間
  • 金額の入力ミスが月に2〜3件発生
  • 担当者が休むと翌日にまとめて処理(残業の原因に)

Saturn(API 自動連携)を導入

受発注データの自動連携ツール Saturn を導入して、COREC → freee の転記を自動化しました。

導入後の作業フロー:

  1. COREC で受注(ここは変わらない)
  2. Saturn が自動で受注データを取得
  3. freee に仕訳データとして自動登録
  4. 担当者は例外処理(イレギュラーな注文)だけ確認

結果:

  • 転記作業: 週5時間 → 週10分(例外確認のみ)
  • 入力ミス: 月2〜3件 → ゼロ
  • 月末照合: 2〜3時間 → ほぼ不要(データが一致しているため)
  • 担当者の休暇: 業務が止まらない(自動で処理されるため)

年間に換算すると、約240時間の削減です。時給1,200円で計算しても年間約29万円。パートを1人雇うのに近い効果があります。

ポイント: なぜ RPA ではなく API 連携を選んだか

この企業も最初は RPA を検討していました。でも、以下の理由で API 連携を選びました。

  1. 安定性: RPA は COREC や freee の画面が変わるたびに設定し直す必要がある。API 連携なら画面変更の影響を受けない
  2. コスト: RPA ツールは月数万円。Saturn は無料プランで始められた
  3. 速度: RPA は画面操作をなぞるので遅い。API 連携は瞬時に処理される
  4. 精度: RPA は画面の読み取りミスがある。API 連携はデータをそのまま渡すのでミスがゼロ

自動化する前にやるべきこと

「よし、自動化しよう」と思ったら、いきなりツールを導入する前にやるべきことがあります。

1. 現状の転記作業を棚卸しする

まず、今どれだけの時間を転記に使っているかを計測してください。

  • 1件あたり何分かかっているか
  • 月に何件処理しているか
  • 月末の照合にどれくらい時間がかかっているか
  • ミスはどれくらいの頻度で発生しているか

「なんとなく面倒」ではなく、数字で把握することが大事です。月に5件しかないなら、手入力のままでいいかもしれません。

2. 受発注システムと会計ソフトの組み合わせを確認する

API 連携は、両方のシステムが API を公開していることが前提です。主要なサービスの API 対応状況を確認しましょう。

API を公開している主な受発注システム:

  • COREC
  • 楽楽販売
  • Board

API を公開している主な会計ソフト:

  • freee
  • マネーフォワードクラウド
  • 弥生会計オンライン

この組み合わせに該当するなら、API ベースの自動連携が使えます。

3. 例外パターンを洗い出す

完全に自動化できるのは「定型的な取引」です。以下のようなイレギュラーは、最初から自動化の対象外として分けておきましょう。

  • 値引き・割引がある取引
  • 返品・キャンセル
  • 複数の勘定科目にまたがる取引
  • 特殊な消費税区分

大事なのは「100%自動化」を目指さないこと。80%の定型取引を自動化するだけで、工数は劇的に減ります。残り20%の例外は、人が判断したほうが正確です。

「受発注システムを導入しましょう」では解決しない

ここで、この記事と競合他社の記事の違いについて正直に書きます。

「受発注 自動化」で検索すると、上位に出てくる記事のほとんどは「受発注システムを導入しましょう」「EDI を入れましょう」という内容です。それはそれで正しいのですが、受発注システムを既に使っている企業の課題には答えていません

問題は「受注をデジタル化する」ことではなく、**「デジタル化した受注データを、会計ソフトに自動で流す」**こと。

受発注システムと会計ソフトの間にある「転記」という名の溝。ここを埋めるのが、API ベースの自動連携です。

大企業なら ERP を導入して全部一気通貫にできます。でも中小企業にはそんな予算もリソースもない。今使っている受発注システムと会計ソフトを活かしたまま、間の転記だけを自動化する。それが現実的な解決策です。

よくある質問

Q. 無料で自動化できますか?

Excel マクロなら無料ですが、保守コストを考えると割高になりがちです。API 連携ツールには無料プランを提供しているものもあります。Saturn は無料で始められます。

Q. 導入にどれくらい時間がかかりますか?

API 連携ツールの場合、受発注システムと会計ソフトのアカウント連携(OAuth 認証)と、勘定科目のマッピング設定で、最短30分〜1時間で使い始められます。RPA の場合は、シナリオ作成に数日〜数週間かかることが多いです。

Q. セキュリティは大丈夫ですか?

API 連携は、各サービスの公式 API を使います。ログイン情報を預ける必要はなく、OAuth という仕組みで「このアプリに、この範囲だけアクセスを許可する」という形で連携します。RPA のように画面にログイン情報を入力させるよりも安全です。

Q. COREC 以外の受発注システムにも使えますか?

Saturn は現在 COREC → freee の連携に対応しています。楽楽販売、Board など他の受発注システムへの対応は、ユーザーの要望に応じて順次開発中です。弥生会計オンラインやマネーフォワードクラウドへの対応も検討しています。

まとめ

受発注の転記作業を自動化する方法を4つ比較しました。

  • VBA/マクロ: 無料だが属人化リスクが高い
  • RPA: 汎用的だが中小企業にはコストと保守が重い
  • OCR: 紙・FAX の処理には有効だが、クラウド受発注を使っているなら不要
  • API 連携: クラウドサービス同士をつなぐ最適解。完全自動、低コスト、高精度

すでに受発注システムを使っている中小企業にとっては、API ベースの自動連携がもっとも費用対効果の高い方法です。

受発注のデジタル化は「受発注システムの導入」で終わりではありません。その先にある「会計ソフトへの転記」まで自動化して、はじめて本当の効率化が完成します。

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