FAX で注文を受けて、FAX で発注して、紙をファイルに綴じて、内容を手で打ち直す。
「いい加減やめたい」と思っていませんか。
日本の中小企業の約 76% が、いまだに FAX で受発注業務を行っているという調査結果があります。やめたいのにやめられない。理由は分かっています。取引先も FAX だから。こちらだけやめるわけにいかない。
でも、取引先に一切の負担をかけずに FAX を廃止する方法があります。
この記事では、FAX 受発注の具体的な問題点と、実際に FAX を廃止した企業の事例、そしてオンライン化した後に残る課題まで解説します。
FAX 受発注の何が問題なのか
「慣れてるから別にいいよ」という声もあるかもしれません。でも、慣れと効率は別の話です。
紙の管理コスト
FAX で受けた注文書は紙です。ファイリングして、保管して、探すときはめくって探す。7 年間の保管義務があるので、段ボール箱が増え続ける。
紛失のリスクもあります。注文書を1枚なくしたら、その注文は「なかったこと」になる。
転記の手間
FAX で受けた内容を、受注管理の Excel や販売管理システムに手で入力する。商品名、数量、単価、配送先。1件の注文に 5 分かかるとして、1日 20 件なら 100 分。毎日です。
読み間違い
FAXの文字は潰れる。手書きの注文書なら、なおさら。「1」と「7」、「6」と「8」。読み間違いが発生して、間違った商品を間違った数量で出荷する。クレーム対応でさらに時間を取られる。
保管スペース
FAX 機本体の場所、用紙の保管、受信した注文書のファイル棚。事務所のスペースを物理的に占有します。小さな事務所では切実な問題。
テレワーク不可
FAX 機はオフィスにある。FAX を受信するために誰かが出社しなければならない。コロナ禍で「FAX のために出社する」という話が冗談みたいに報道されましたが、いまだに現実として残っている会社は少なくないはずです。
FAX をやめる具体的な方法
オンライン受発注ツールを導入する。これが一番シンプルな解決策です。
取引先にシステムを導入してもらう必要はありません。Web 上の注文フォームを使ってもらうだけ。ネット通販で買い物するのと同じ操作です。
代表的なツールを 3 つ紹介します。
COREC(コレック)
株式会社ラクーンコマースが運営。85,000 社以上が導入。
- 無料プランあり(初期費用ゼロ、月額ゼロ)
- ビジネスプラン: 受注側 月額 2,980 円、発注側 月額 1,480 円
- 注文フォームを作成して URL を共有するだけ
- 取引先はブラウザから注文するだけ。アカウント作成は不要
- スマホ・タブレット対応
- FAX での送信も可能(取引先が Web に対応できない場合)
無料で始められて、取引先への負担が最も小さい。「まず試してみたい」ならCORECが第一候補です。
CO-NECT(コネクト)
CO-NECT 株式会社が運営。
- 無料プランあり
- freee 会計との連携あり(プロフェッショナルプラン以上)
- LINE からの発注に対応
- 発注側は無料
freee を使っている会社なら、会計ソフトへの自動連携がある CO-NECT は魅力的。ただし、COREC ほどの導入実績はまだない。
BtoB プラットフォーム 受発注
株式会社インフォマートが運営。外食産業に強い。
- フード業界に特化した機能
- 大手チェーンとの取引が多い場合に有利
- 料金は要問い合わせ(COREC や CO-NECT より高め)
取引先が既に BtoB プラットフォームを使っている場合は、合わせるのが合理的です。
FAX を廃止した企業の事例
「うちの取引先は FAX しか使えないから…」と思っていませんか。以下の事例を見てください。
IFNi ROASTING & Co.(コーヒー豆焙煎所)
静岡の自家焙煎コーヒー店。以前はカタログを作成して取引先に送り、FAX やメールで注文を受けていた。問題は、注文フォーマットがバラバラで集計に時間がかかること。
COREC で取引先ごとにカスタムの注文フォームを作成。注文フォームの URL を案内するだけで、FAX を完全に廃止できた。取引先も「こっちの方が楽」と好評。
田園ポテト(レストランチェーン)
3 店舗を運営するレストラン。仕入先への発注を FAX で行っていたが、COREC に切り替えたことで 3 店舗すべてから FAX 機を撤去。
FAX の通信費が削減されただけでなく、不要な広告 FAX に用紙を消費されることもなくなった。本部から各店舗の発注状況をリアルタイムで確認できるようになったのも大きな変化。
トライアングル(美容室チェーン)
東京・神奈川で 23 店舗を展開する美容室チェーン。本部と店舗間のシャンプー・カラー剤などの発注を FAX で行っていた。
23 店舗分の FAX を集約して処理する本部の負担が大きかった。COREC 導入後は、各店舗がオンラインで発注し、本部で一括管理。店舗側も「手書きの発注書を書かなくていい」と喜んでいる。
FAX をやめた後に残る課題
ここまで読んで「よし、COREC を入れよう」と思った方にひとつ注意。
受発注のオンライン化は、業務効率化のゴールではありません。スタート地点です。
COREC を導入すれば、注文の受付と管理はオンラインで完結します。紙の管理も、読み間違いも、FAX のための出社もなくなる。
でも、その先に「転記」が待っています。
COREC で受けた注文の内容を、会計ソフトに手で入力する作業です。取引先名、商品名、数量、単価、税率。1 件ずつ freee や弥生に打ち込む。
FAX の時代は「FAX → Excel → 会計ソフト」という二重転記だった。COREC にすると「COREC → 会計ソフト」で一段階減る。でもゼロにはならない。
月の受注が 10 件なら我慢できます。50 件、100 件になると話は変わる。月末に転記だけで丸 1 日かかるようになる。
COREC には freee や弥生との自動連携がありません。競合の CO-NECT には freee 連携がありますが、COREC にはない。
転記を自動化する方法
COREC を使い続けながら、会計ソフトへの転記をゼロにする方法があります。
Saturn は、COREC の受注データを API で取得して、freee の請求書を自動生成するツールです。
仕組みはシンプル。
- COREC に新しい受注が入る
- Saturn が受注データを自動で取得
- 取引先の名寄せ、商品明細の整形、税率の判定を自動で実行
- freee に請求書を自動登録
人間がやることは「確認して送信ボタンを押す」だけ。
COREC も freee も今のまま使い続けられるので、取引先に影響は一切ありません。「FAX をやめてオンライン化する」のと同じ発想で、「手入力をやめて自動化する」。
まとめ
FAX の受発注をやめるのは、思ったより簡単です。
COREC のようなツールを使えば、無料で、取引先に大きな負担をかけずに、オンライン化できる。実際に FAX 機を撤去した会社がいくつもある。
ただし、オンライン化しただけでは転記作業が残ります。受注が増えるほど、この転記が重くなる。
FAX をやめるなら、その先の「会計ソフトへの転記」もセットで考えておくと、二度手間になりません。