COREC で受けた注文を、freee に手で打ち直す。
注文番号をコピーして、取引先を選んで、品名と数量と金額を1行ずつ入力して、税率を確認して、日付を変換して。
毎日やっていませんか?
COREC の導入社数は 85,000 社を超えました。受発注のオンライン化は確実に進んでいる。一方で freee は中小企業の会計ソフトでシェア No.1。この2つを併用している会社は相当な数にのぼるはずです。
なのに、COREC と freee を自動でつなぐ手段がない。
競合の受発注サービス CO-NECT は freee との連携を公式に実装しています。でも COREC にはそれがない。だから毎月、人の手で転記するしかない。
この記事では、COREC から freee への転記を自動化した実例と、その具体的な仕組みを紹介します。
COREC と freee の間に「橋」がない問題
COREC は受発注に特化したサービスです。注文フォームの作成、受注の管理、納品書の発行。ここまでは COREC だけで完結します。
ただし、請求書の発行と入金管理は守備範囲外です。
だから freee や弥生やマネーフォワードで別途やることになる。COREC で受けた注文の情報を、会計ソフトにもう一度入力する。これが「転記」です。
受発注はデジタル化されたのに、その先の会計処理がアナログのまま。ここに溝がある。
CO-NECT という受発注サービスは freee との公式連携を実装しています。受注データをそのまま freee に流せる。でも COREC はそうなっていない。85,000社が使っているサービスなのに、会計ソフトとの接続が手作業前提のまま残されている。
「COREC 便利だけど、結局 freee に手で打ち直すんだよね」。この不満を抱えている経理担当は少なくないはずです。
転記作業の実態:コピペだけでは終わらない
「受注データをコピペするだけでしょ?」
そう思うかもしれません。実際にやっている人なら分かると思いますが、単純なコピペでは済まない作業が5つあります。
取引先の名寄せ
COREC に登録されている注文者名と、freee に登録されている取引先名が一致しない。「株式会社」が付いていたりいなかったり、全角と半角が混在していたり、略称で登録されていたり。
受注のたびに「この注文者は freee 上のどの取引先か?」を確認して、手動で紐づける必要があります。取引先が多いほど、この照合作業は重くなる。
商品明細の転記
1件の注文に商品が10行、20行あるのは珍しくありません。食品卸やイベント向けの仕入れなら、1注文に80品以上ということもある。
これを1行ずつ freee の請求書に入力する。品名、数量、単価、金額。入力欄を行き来しながら、ひたすら打ち込む作業です。注文が5件たまれば、明細の合計は軽く100行を超えます。
税率の判定
食品は軽減税率の8%、それ以外は10%。1つの注文の中に両方が混在することもある。
COREC 側の税区分と freee 側の勘定科目の対応を確認しながら、1行ずつ正しい税率を設定していく。地味だけど間違えると確定申告に影響するので、気が抜けない作業です。
日付の変換
COREC の納品希望日や注文日を、freee の請求日と支払期日に変換する。取引先ごとに支払いサイトが違う場合は、都度確認が必要です。
月末締め翌月末払いの取引先もあれば、翌々月15日の取引先もある。これを頭の中で計算しながら日付を入力する。
ミスの修正
ここまでの作業を全て手でやっている以上、ミスは必ず起きます。
金額の打ち間違い、取引先の選択ミス、税率の設定ミス。月末に COREC の受注一覧と freee の請求書を突合して、ようやくミスが発覚する。見つけたら修正、修正したら再確認。これがセットでついてきます。
ある企業では、この一連の転記作業に週5時間かかっていました。月にすると20時間以上。ほぼ丸3営業日を転記だけに使っている計算です。
しかも、この作業は経理担当だけの問題ではありません。転記を担当できる人が1人しかいない場合、その人が休んだら請求が止まる。属人化の典型です。引き継ぎ資料を作っても、取引先ごとの細かいルールは経験でしか分からない部分がある。新しい人が慣れるまでにまたミスが増える。
「転記なんて誰でもできる作業でしょ」と思われがちですが、実態はそう単純ではない。だからこそ、自動化する意味がある。
自動化したら、どうなったか
フードフェスの運営会社の事例を紹介します。
この会社は全国各地のフードフェスを主催していて、出店者への発注と請求を COREC と freee で管理しています。イベントごとに COREC の注文フォームが異なり、1フォームあたり最大82商品。出店料やオプション費用の請求書も別途発行する必要がありました。
さらに、イベントごとに異なる COREC アカウントを使い分けている。フェスAのアカウント、フェスBのアカウント、というように。転記する側は、複数の COREC アカウントにそれぞれログインして受注データを確認し、freee に打ち直していたわけです。
転記にかかっていた時間は週5時間。
自動化した結果、こうなりました。
- COREC の受注データを取り込むと、freee の請求書が自動で生成される
- 取引先の名寄せも自動。COREC の注文者名から freee の取引先を自動マッチング
- 商品明細は82行でも一括で転記される
- 税率は COREC の設定をそのまま引き継ぐ
- 支払期日も取引先ごとのルールに従って自動計算
- マルチアカウント対応。複数の COREC アカウントを1つの画面で一括管理
転記にかかる時間は約10分になりました。
週5時間が10分。30倍の効率化です。
浮いた時間で、新しいイベントの企画や出店者のサポートに集中できるようになったと聞いています。
ポイントは、単に速くなっただけではないこと。転記ミスがゼロになったので、月末の突合作業もなくなりました。「合わない数字を探す時間」がまるごと消えた。精神的な負担が減ったという声もありました。
自動化の仕組み:何をどうつなげるのか
技術的な詳細は省きますが、やっていることはシンプルです。
COREC(受注データ)
↓ API で自動取得
データ整形(名寄せ・税率判定・日付変換)
↓ API で自動登録
freee(請求書)
3つのステップで成り立っています。
ステップ1:COREC から受注データを取得する
COREC の API を使って、受注データを自動で取り込みます。手動でCSVをダウンロードしたり、画面をコピペする必要はありません。マルチアカウントにも対応しているので、複数のCORECアカウントのデータをまとめて取得できます。
ステップ2:データを整形する
ここが一番手間がかかっていた部分です。取引先の名寄せ、商品明細の整形、税率の判定、日付の変換。人が頭を使ってやっていた処理を、ルールベースで自動化します。
たとえば取引先の名寄せ。「株式会社ABC」と「(株)ABC」と「ABC」が全て同じ取引先だと判定して、freee 上の正しい取引先に紐づける。初回だけマッチングを確認すれば、2回目以降は自動です。
ステップ3:freee に請求書を登録する
freee の API を使って、請求書を自動で作成します。取引先、商品明細、税率、日付、全てがセットされた状態で請求書が出来上がる。
人間がやることは「取り込んだデータを確認して、送信する」だけです。
完全に無人で動かすこともできますが、最初は確認ステップを挟むことをおすすめしています。取引先のマッチングが正しいか、金額に異常がないか。目視で確認して問題なければ送信する。慣れてきたら確認を省略して全自動にすることもできます。
「COREC にそんな機能あったっけ?」
ありません。これは COREC の機能ではなく、外部の連携ツールで実現しています。
冒頭で書いたとおり、COREC には freee との連携機能がありません。CO-NECT のように公式で対応しているわけでもない。
だからこそ、COREC と freee の間を埋める仕組みが必要でした。この記事で紹介しているのは、Saturn という受発注データの自動連携ツールです。COREC の API と freee の API を橋渡しして、転記作業を自動化します。
こんなケースでも使えるか?
「うちはフードフェスじゃないけど」という方へ。
COREC のユーザー層で一番多いのは食品・農業関連です。農家から飲食店への直卸、食品メーカーの BtoB 受注、コーヒー豆の焙煎所、有機野菜の定期便。
それ以外にも、生地問屋、印刷会社、雑貨卸、自動車部品商社、建材商社。業種はさまざまです。
共通しているのはこの3つ。
- 注文の頻度が高い。週に何度も受注がある
- 商品点数が多い。数十品から百品以上
- 取引先ごとに条件が違う。価格、支払いサイト、配送先
この3つのうち2つ以上に当てはまるなら、転記の自動化で得られる効果は大きいはずです。逆に、月に数件しか受注がなくて商品も3種類だけ、という場合は手入力のほうが早いかもしれません。
導入する前に確認しておくこと
自動化ツールを入れる前に、2つだけ確認してください。
COREC の API が使える契約か
COREC のプランによって API の利用可否が異なります。現在のプランで API が使えるか、事前に確認しておいてください。
freee の事業所設定
freee 側で、取引先マスタと勘定科目が整理されているとスムーズです。取引先名が重複していたり、使っていない勘定科目が大量にあると、名寄せの精度に影響します。といっても、完璧に整理されている必要はありません。ある程度まとまっていれば、自動マッチングが吸収してくれます。
「freee じゃなくて弥生なんだけど」
現時点では freee 連携が先行していますが、弥生会計オンラインやマネーフォワードクラウドへの対応も、需要があれば進める予定です。
COREC と弥生の組み合わせ、あるいは COREC とマネーフォワードの組み合わせで転記に困っている方がいれば、ぜひ声をかけてください。実際にニーズがある組み合わせから優先的に対応します。
受発注と会計の間の溝は、どの会計ソフトを使っていても同じ構造です。freee で実証した仕組みは、他の会計ソフトにも応用できます。
まとめ
- COREC で受発注をオンライン化しても、freee への転記は手作業のまま
- 転記には名寄せ、明細入力、税率判定、日付変換、ミス修正がセットでついてくる
- 自動化すれば、週5時間の転記が10分になる。30倍の効率化
- COREC には freee 連携がないが、API を使った外部ツールで実現できる
- 食品卸、農業、製造業、雑貨卸。業種を問わず、同じ構造の課題がある