飲食店に食品を卸している会社のバックオフィスは、だいたいこうなっています。
受注(COREC・FAX・電話・LINE)→ 出荷指示 → 納品 → 請求書作成(freee・弥生・MF)→ 入金確認。
この流れの中で、最も手作業が残っているのが「受注→請求書作成」の間です。
受注はCORECでオンライン化した。請求書はfreeeで発行している。でも、CORECの受注データをfreeeに流す手段がない。だから毎月、人が転記している。
この記事では、飲食店向け食品卸の「受注→請求書」を自動化する全手順を解説します。
飲食店向け食品卸のワークフロー
まず、一般的な流れを整理します。
1. 受注 飲食店から注文が入る。CORECの注文フォーム、FAX、電話、LINEなど、チャネルは様々。最近はCORECに一本化する会社が増えています。
2. 出荷準備 在庫を確認し、ピッキング・梱包。冷蔵・冷凍品は温度帯の管理が必要。
3. 納品 自社配送またはクール便で飲食店に届ける。納品書を添付。
4. 請求書作成 月末締めで、その月の納品分をまとめて請求書を発行。freee、弥生、マネーフォワードなどで作成。
5. 入金確認 翌月末や翌々月に入金。未入金があれば催促。
このうち、1と4の間が断絶しています。CORECに入った受注データを、freeeに手で移す。ここがボトルネック。
なぜ「受注→請求書」の間が手作業なのか
CORECは受発注に特化したサービスです。注文フォームの作成、受注の管理、納品書の発行まではカバーしている。でも、freeeやマネーフォワードとの連携機能はありません。
一方、同じ受発注サービスでもCO-NECTはfreeeとの公式連携を持っています。BtoBプラットフォーム(インフォマート)は大手飲食チェーン向けに受発注から請求までワンストップで提供している。
ではなぜCORECを使うのか。
理由は3つ。無料から始められる(CO-NECTは発注側にも課金される場合がある)。操作がシンプル(インフォマートは機能が多すぎて小規模事業者には重い)。取引先に負担をかけない(ブラウザで注文フォームを開くだけ)。
小規模〜中規模の食品卸にとって、CORECの手軽さは正義です。ただ、その手軽さの代償として、会計ソフトとの接続が手作業で残っている。
食品卸ならではの転記の辛さ
食品卸の転記が特にきついのは、いくつかの業界特有の理由があります。
品目の変動が激しい
飲食店のメニューは季節で変わります。仕入れる食材も変わる。先月は毎週注文があったアスパラガスが、今月はゼロ。代わりに松茸が入る。
CORECの注文フォームの品目を頻繁に更新する必要があるし、freeeの勘定科目や品目マスタとの対応も都度確認が必要です。
少量多品種
「鶏もも肉2kg、豚バラ1kg、ベーコン500g、ソーセージ3種×10本、自家製ドレッシング2本」。1件の注文にこれだけの品目が並ぶ。
飲食店を20件抱えていたら、月末に転記する明細は数百行になります。
取引先ごとの掛け率
同じ商品でも、取引先によって単価が違う。月の仕入れ量で掛け率が変わる。新規の飲食店はリスト価格、長年の付き合いがある店は特別価格。
CORECの受注データをそのままfreeeに写すだけでは済まない。「この店はこの価格」というマッピングを頭の中で管理しながら転記する必要がある。
軽減税率8%の罠
食品は軽減税率8%。これ自体は単純ですが、食品卸は食品以外の商品も一緒に卸すことがあります。
紙ナプキン、割り箸、テイクアウト容器。これらは10%。1枚の請求書に8%と10%の商品が混在する。転記のたびに税率を確認して、正しく設定する必要がある。
間違えたら修正して再送。インボイス制度の下では税率の間違いは許されません。
大手プラットフォームとの比較
「BtoBプラットフォーム(インフォマート)に乗り換えれば解決するのでは?」
確かにインフォマートは受発注から請求までカバーしています。大手飲食チェーンとの取引なら選択肢に入る。
ただし、月額費用が高い。基本料金に加えて従量課金があり、小規模な食品卸にはコスト的にきつい。取引先の飲食店側にもアカウントが必要で、個人経営の店に「インフォマートに登録してください」と頼むのはハードルが高い。
CO-NECTはfreee連携がありますが、発注側(飲食店側)にもプランによっては料金が発生します。取引先に費用負担を求めるのは、関係性によっては難しい。
CORECは受注側がビジネスプラン(月2,980円・税抜)を払えば、発注側(飲食店)は完全無料で使えます。この「取引先に負担をかけない」という設計が、小規模食品卸に選ばれている理由です。
CORECの弱点は会計ソフトとの連携がないこと。その弱点をSaturnで埋めます。
受注→請求書を自動化する全手順
手順1: CORECで注文フォームを整備する
まだCORECを使っていない場合は、アカウントを作成して注文フォームを作ります。
ポイントは、品目名をfreeeの請求書に載せたい名前で登録すること。「鶏もも2kg」ではなく「国産鶏もも肉 2kg」。後工程での修正が減ります。
取引先ごとに価格を変えたい場合は、フォームを分けるか、ビジネスプランで取引先別の価格設定を使います。
既にCORECを運用中なら、この手順はスキップ。
手順2: SaturnにCORECを接続する
SaturnにCORECのアカウントを連携します。APIキーを登録するだけで完了。
接続すると、CORECの受注データが自動で取り込まれます。過去の受注データも遡って取得可能です。
手順3: freeeを接続する
freeeのアカウントをOAuth認証で連携します。freeeにログインして「許可する」を押すだけ。
手順4: 取引先のマッチングを設定する
CORECの注文者名とfreeeの取引先名を自動でマッチングします。
「有限会社○○食品」と「○○食品」のような表記ゆれは自動判定。初回だけ確認が必要ですが、一度紐づけたら以降は自動です。
手順5: 受注→請求書の自動生成を確認する
CORECで受注が入ると、Saturnが自動でデータを取り込み、freeeの請求書ドラフトを生成します。
品目名、数量、単価はCORECの受注データから自動転記。税率は食品8%を自動判定(食品以外の商品が混在する場合も個別に設定可能)。請求日・支払期限は設定したルールに従って自動入力。
人間がやることは、生成された請求書を確認して送信するだけ。
手順6: 月末にまとめて確認・発行
月末締めの場合、その月の全受注を一覧で確認。取引先ごとに請求金額をチェックして、問題なければ一括発行。
「先月は300行の明細を手で打っていた」が「画面を見て確認ボタンを押す」に変わります。
ある食品会社の場合
全国のフードフェスを運営する会社の事例です。
出店者への発注と請求をCORECとfreeeで管理していて、転記に週5時間かかっていた。大型フェスが重なる時期は週8〜10時間に跳ね上がることもあった。
Saturn導入後、転記は約10分に。
この会社は1つのフォームに最大82商品、複数のCORECアカウントを使い分けるという特殊な運用でしたが、それでも自動化できた。飲食店向けの一般的な食品卸なら、もっとシンプルに導入できます。
受注のオンライン化は「半分」でしかない
CORECで受注をオンライン化した。それは正しい判断です。
でも、その受注データを手で会計ソフトに打ち直しているなら、業務のデジタル化は半分で止まっている。前半がデジタル、後半がアナログ。
受注→請求書までが一気通貫でつながって、はじめて「自動化した」と言える。
月末の転記作業に使っている時間を、営業や商品開発に使えたら。入金管理の精度が上がって、未回収が減ったら。
その差は、月を追うごとに広がります。