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2026-02-26
#突合 #照合 #請求書 #納品書 #経理自動化

納品書と請求書の突合を自動化する方法 — Excelの目視チェックから卒業する


経理の現場で、今でもこんな光景がある。

モニターに定規を当てて、Excel の行を 1 行ずつ追いながら、紙の請求書と突き合わせる。合っていたらセルに色をつけて、紙にペンでチェックを入れる。50 件終わったら次の取引先。これを月末に 3 日間やる。

大げさに聞こえるかもしれないが、実際にやっている会社は多い。Yahoo 知恵袋にも「納品書と請求書を Excel で照合したい」という質問が複数あり、閲覧数は数千に達している。


なぜ突合が自動化できないのか

突合作業は単純に見えるが、実はルールベースでの自動化が非常に難しい。

まず、フォーマットが統一されていない。A 社の納品書は「品名」だが、B 社は「商品名」。C 社は「摘要」。同じ商品でも、発注時に「耐熱チューブ φ10」と書いたのが、請求書では「耐熱チューブ 10mm」になっている。人間なら同じものだと分かるが、VLOOKUP では一致しない。

次に、金額が一致しない場合がある。数量変更、一部返品、値引き、端数処理。納品書の合計と請求書の合計が 100 円ズレている。その 100 円が正しいのか間違いなのか、元の伝票を遡って確認する必要がある。

そして、紙で届く請求書がまだ多い。PDF ならまだマシだが、FAX で届いた納品書を 1 枚ずつ見ながら Excel と照合するのは、効率化のしようがない。


Excel で頑張る方法(限界あり)

VLOOKUP と MATCH 関数を組み合わせれば、2 つの Excel シートの照合はできる。注文番号が共通キーになっていれば、金額の一致・不一致を自動で判定できる。

ただし、前提がある。

  • 納品書データと請求書データが、どちらも Excel に入力済みであること
  • 共通のキー(注文番号、伝票番号)が両方に存在すること
  • 表記ゆれがないこと

この 3 つの前提を満たすケースは、実務では少ない。納品書は紙だったり、請求書はメール添付の PDF だったり。キーが違う名前で記載されていたり。

Excel で照合するためには、まず Excel に手入力する工程が必要になる。突合の自動化ではなく、手入力のあとの半自動チェックにすぎない。


AI が変えたこと

AI(LLM)は表記ゆれを理解する。

「耐熱チューブ φ10」と「耐熱チューブ 10mm」が同じ商品だと判断できる。「5 双組」と「5 双」が同じ数量単位だと分かる。「株式会社山田製作所」と「㈱ヤマダセイサクショ」が同じ会社だと分かる。

これは VLOOKUP にはできなかったことだ。

2 枚の PDF を投げ込めば、AI が両方の中身を読み取り、品目ごとに照合し、一致・不一致・差額を表として出力する。フォーマットが違っても、表記がズレていても、AI が文脈で判断する。


突合を自動化する 3 つのアプローチ

① Excel マクロ + VLOOKUP(手入力前提)

  • 両方のデータを Excel に入力済みであれば有効
  • 共通キーが必要(表記ゆれがあると一致しない)
  • コスト: 無料(自作)
  • 限界: 手入力の工程は自動化されない

② RPA で画面操作を記録

  • 定型の画面遷移を自動化(EDI からデータ取得 → 基幹システムに入力)
  • 画面が変わると壊れる(UI の 1px の変更でセレクタが死ぬ)
  • コスト: 年間数十万〜数百万円
  • 限界: 判断が必要な照合は RPA では対応できない

③ AI による照合

  • PDF を直接読み取り、表記ゆれを吸収して照合
  • フォーマットの違いに対応(レイアウトが毎回違っても動く)
  • コスト: 月額数千円〜
  • 限界: 100% の精度ではないため、不一致箇所は人間が最終確認

確認は省略しない

AI が「一致」と判断しても、最終確認は人間がやるべきだ。特に金額が大きい取引では、AI の判定結果をレビューする工程は省略しない。

ただし、確認の負荷がまったく違う。

手作業の突合: 50 件を 1 件ずつ照合する(全件を精査) AI 突合のあと: 50 件中 47 件が「一致」、3 件が「要確認」と表示される。確認するのは 3 件だけ。

50 件全部を見るのと、3 件だけ見るのでは、所要時間が 10 分の 1 以下になる。


どういう会社に向いているか

  • 月末に納品書と請求書の照合を手作業でやっている
  • 取引先ごとにフォーマットがバラバラ
  • VLOOKUP を使っているが表記ゆれで一致しない
  • 突合に月 10 時間以上かけている
  • 担当者が 1 人で、ダブルチェック体制を組めない

まとめ

突合作業の本質は「2 つのデータが同じものかどうかを判断する」ことだ。

VLOOKUP は完全一致しか判定できない。RPA は画面操作を記録するだけで判断はできない。AI は表記ゆれを吸収して、文脈で「同じ」か「違う」かを判断できる。

モニターに定規を当てる時代は、もう終わっていい。


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