経理の月末には、こんな時間がある。
Gmail を開く。件名に「請求書」と入ったメールを探す。添付 PDF を開く。振込先の銀行名を確認する。支店名。口座番号。金額。支払期限。それを Excel か何かに転記する。次のメール。また開く。また読む。また転記する。
30 件の請求書を処理するのに、2 時間。目が疲れる。数字を見間違える。口座番号の 7 と 1 を取り違えたら、振込は組み戻しになる。手数料 880 円。
この「PDF を目で読んで手で写す」という工程そのものを、もうやめたい。
なぜ請求書 PDF の処理は面倒なのか
問題の根本は、請求書のフォーマットが取引先ごとにバラバラなことだ。
A 社は右上に振込先が書いてある。B 社は最下部。C 社はそもそも振込先が請求書本体にはなく、別紙で案内している。銀行名の表記も「三菱 UFJ 銀行」「三菱 UFJ」「ミツビシ UFJ 銀行」と統一されていない。
この非定型なデータを正しく読み取るには、人間の目が必要だった。OCR では読み取れても、どこが銀行名でどこが口座番号かを判別するのが難しかった。
AI がこれを変えた。
方法 1: AI-OCR サービスを使う
バクラク請求書、invox、RICOH Cloud OCR。こうしたサービスは、AI の力で請求書 PDF を自動読み取りする。フォーマットが違っても、学習済みのモデルが項目を判別してくれる。
精度は高い。だが、これらは「請求書管理システム」だ。読み取りだけでなく、仕訳、承認ワークフロー、電子帳簿保存法対応までバンドルされている。月額も数万円から。
振込先の情報を抽出したいだけなのに、経理システム全体の入れ替えを迫られる。
方法 2: ChatGPT や Gemini に手動で投げる
2024 年以降、GPT-4o や Gemini Flash は PDF を直接読める。請求書 PDF をアップロードして「振込先情報を JSON 形式で抽出して」と指示すれば、かなり正確に返してくれる。
手軽だが、手軽すぎて業務フローにならない。
30 件の請求書を 1 枚ずつ ChatGPT にアップロードして、返ってきた JSON をコピーして、Excel に貼り付ける。結局、手作業の場所が「PDF を読む」から「ChatGPT にコピペする」に変わっただけだ。
方法 3: GAS や Python で自動化パイプラインを組む
エンジニアならこう考える。Gmail API で請求書メールを検索し、添付 PDF を取得して、Gemini API に投げて、返ってきた JSON をスプレッドシートに書き出す。全部コードで自動化すれば、手作業はゼロになる。
技術的には正しい。でも、このパイプラインを構築するのに何日かかるか。
Gmail API の OAuth 設定、スコープの選定、トークンリフレッシュの処理。PDF 添付ファイルの base64 デコード。Gemini API のプロンプト設計と、返ってきた JSON のバリデーション。エラーハンドリング。リトライ処理。
動いたとしても、メンテナンスできるのは作った本人だけだ。
Saturn でやる場合
Saturn はこのパイプラインを、テーブルの操作だけで実現する。
① Gmail から請求書メールを取り込む
Gmail 連携をオンにして、「件名に”請求書”を含む」「添付ファイルあり」で検索するだけ。該当するメールがテーブルの行として一覧で並ぶ。
② AI が請求書 PDF を読み取る
エンリッチ列を追加すると、各行の添付 PDF を AI が自動解析する。銀行名、支店名、口座番号、口座名義、金額、支払期限、請求書番号、発行元。すべてが自動でセルに入る。
フォーマットがバラバラでも関係ない。A 社の請求書も、B 社の請求書も、AI が中身を読んで構造化する。
③ そのまま全銀フォーマットで出力する
テーブルに並んだ振込データを選択して、全銀フォーマットで書き出す。ネットバンキングにアップロードすれば、一括振込が完了する。
PDF を目で読む工程がゼロ。転記もゼロ。30 件が 5 分で終わる。
精度の話
AI の読み取り精度は 100%ではない。ここは正直に書いておく。
口座番号の桁が 1 つ足りない、カタカナの名義が微妙に違う、そういうケースはある。だから Saturn のテーブル上で、AI が抽出した結果を目視確認するステップは残る。
ただ、ゼロから手入力するのと、AI が埋めた結果を確認するのでは、作業量が桁違いだ。30 件のうち 28 件は正しくて、2 件だけ修正する。それなら 2 分で終わる。
まとめ
請求書 PDF から振込情報を読み取る方法は、大きく 4 つある。
AI-OCR サービスは高機能だが重い。ChatGPT 手動投げはカジュアルだが業務フローにならない。GAS や Python で組むと属人化する。
Saturn は Gmail 連携と AI 解析をテーブルの列として組み込んでいるので、コードを書かずに「メール取込 →AI 読取 → 全銀出力」が 1 枚のシートで完結する。
振込日の前日、2 時間かけて PDF を読む仕事はもう終わりにしよう。
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